望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
今思えば年月だけは重ねたが、本当の付き合いだったか初めての彼でよくわからなかった。

ただ、都合よく使われたと気づけば、驚く程急激に気持ちは冷めていった。
彼に対してというより、こんな年月をあんな男に費やした自分に腹が立ったし悲しかった。

そして……。

あることを引き金に私はうまく眠れなくなった。
眠れないことは夜勤もある看護師には致命傷だった。日中逆でも休みの時に眠らなければいけないのに、上手く眠れない。

しばらく休暇をとることにしたが、一気に何か糸が切れてしまった。
そこで私はやめることを考えたが、一度外来勤務に変わったらどうかと説得され今に至る。

きちんと日中で仕事が終わることもあり、だんだんとペースが戻ってきて今は毎日たくさんくる親御さんや、子供達の対応も慣れてきた。

一人の子に担当するわけではない分、昔のように気持ちを持っていかれることも少ない。
しかし、今日の結衣くんみたいな昔の患者さんの話を聞くと、今の自分では何もできない事に歯がゆさも感じる。
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