望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~


外は汗ばむ陽気だが、ひんやりと冷房の効いたその場所は、カップルが多くいて私は目のやり場に困ってしまう。

「ねえ、柚葉さん」
「ん?」

スペースが開いた場所に二人で並び、夜景を見ていると横から私を呼ぶ声が聞こえ、何気なく返事だけをした。

「俺にしません?」

小さく点に見える車のライトを見ていた私は、今言われたセリフを頭でもう一度整理する。

俺にしません?

「え?」

反射的に横に視線を向ければ、彼は夜景などいておらず私をジッと見つめていた。

その本気か嘘かわからない言葉に、私の胸の音は煩い。

いつのまにか私の前だけで使う俺という言葉にも、反応してしまう自分がいる。

「付き合いませんか?」

そのストレートに言われた言葉に、私はとっさに「少し考えさせて」そう答えていた。

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