望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

「ダメ、まだ千堂さんにお断りもしてない」
「じゃあ、断ったら付き合ってもいいんだ」
確かにこれではそう答えたも同然だ。一気に顔が熱くなるのがわかる。

「ヤバっ。柚葉さん可愛すぎる。うなじ真っ赤」
その言葉と同時に、望月君の指だと思われるものがそっと私の首筋をなでる。
「ッ」
つい声が漏れてしまい、私は慌てて口を閉じる。
「ねえ、柚葉さん……」
その時、私のパンツのポケットでスマホが音を立てる。

【千堂さん】
その文字に、私は動きを止めた。あまりにもタイムリーな名前に出るのを躊躇していると、望月君がひょいっとそのディスプレイに視線を向ける。
「柚葉さん、出て」
真剣な瞳に私はゴクリと唾液を飲み込んだ。

< 93 / 143 >

この作品をシェア

pagetop