角松 ヤエ 30歳 OL
第2話
第2話
「星が綺麗だね。でも君の方がもっと綺麗だよ」
って言われたら冗談でもドン引きする
*******************************************
「イタクナ~イ。イタクナ~イ。
ダイジョ~~~~ブ。」
私が勤める会社は毎週水曜日が“ノー残業デー”になっている。
みんな定時で仕事を切り上げるから、
アフター5の予定が立てやすい、
金曜日以外に重宝している曜日だった。
「イタクナ~イ。イタクナ~イ。
ダイジョ~~~~ブ。」
そんな今週水曜日も、
勿論手帳の中には予定が記入されている。
ただ・・今週は月曜日に匹敵する“憂鬱”アフター5。
だから椅子に座って、
もの凄く小声で呪文を唱えていた。
ちなみにこの呪文は前々回ぐらいにここへ来た時、
泣きじゃくっていた5歳ぐらい男の子にお母さんが言い聞かせていたので、
ちゃっかり私も習得した(^◇^;)
「イタクナ~イ。イタクナ~イ。
ダイジョ・・・。」
「角松さ~ん。角松ヤエさ~ん。」
「あ、はい。」
「診察室どうぞ~。」
よ~~~しっ。
読んでいた雑誌を本棚へしまって、カーテンで仕切られていた憂鬱の向こう側へと足を踏み入れる。