角松 ヤエ 30歳 OL
第3話
第3話
パンを愛する女子に、悪い人はいない
*******************************************
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
月末が近いという事もあって、
今日は朝から伝票ラッシュだった。
右隣のサチコさんも、左隣の後藤も、今日は一切の雑談無しで黙々と目の前の伝票と睨めっこしている。
ちなみに、こなしてもこなしても仕事が降りかかってくる状態の事を“テトリス状態”と私は呼んでいるけど、
サチコさんと後藤にはあまり浸透していない(^◇^;)
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
あっという間に午前中が過ぎて、
束の間のお昼休みでリフレッシュして、
午後は【睡魔】と戦いながらテトリス状態に臨まなければいけない。
「・・・・・・・・。」
こういう時、私には必殺のアイテムがある。
それは眠気からも覚ましてくれて、
集中力も維持させてくれる魔法のアイテム。
「・・・・・・・よし・・。」
取り掛かっていた伝票入力が終わった後、
【シゲキックス】に手を伸ばして、
また新しい伝票をセッティングする。
いやホントに、よく分かんないけど“ノーベルお菓子賞”なんて権威ある賞があるなら、
このグミを開発したUHA味覚糖さんは受賞されるべきだと思う。
“酸っっっっぱ!!?”という、
とにかく酸っぱすぎる刺激。
それでいて“グミ”だから業務時間中でもしれっと机の隅に置いて、しれっと食べても問題はない。