きみと真夜中をぬけて
変化が訪れたのは新学期───2年生になってすぐのことだった。
「蘭、マイの好きな人ってわかって桜井くんと仲良くしてたわけ?」
「え?」
「バイト先同じだったのもさ、あたしら全然知らなかったんだけど。言わないまま自分だけこっそり抜け駆けとか、ずるいし最低だよ」
「え、…え、待って」
「前から思ってたけど、蘭のそういうとこ────ほんと嫌い」
ヒュウッと渇いた空気が喉を通った。
何のことを言われているのか理解できなくて、私に向けられた、憎しみと軽蔑が込められた鋭い瞳をただ見つめることしかできなかった。