きみと真夜中をぬけて





新学期、学校に行くのがとても憂鬱だった。



自分が何をしたのかわからないまま顔を合わせるのが怖かった。

だけど、人と話し合う時は面と向かうことが大切だと何かの本で読んだことがあったから、逃げちゃだめだと言い聞かせて学校に行ったのだ。


───そうしたら、嫌いだと言われた。





桜井くんというのは、隣のクラスの男の子であり、私と同じカフェで働くバイト仲間であった。1年生の5月に私がバイトを始め、それから数か月経った頃に桜井くんが入って来た。


バイト先では私の方が先輩にあたるので、仕事を教えるうちによく話すようになった。


とはいえ、休日にどこかにでかけたり頻繁に連絡を取り合うような関係ではなかった。あくまでもバイト先が同じ同級生という枠の中にいたつもりだった。


< 12 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop