きみと真夜中をぬけて





不登校になってからというもの、私は家と公園を行き来するばかりで外の世界を知らなかった。



綺とは夜に限らず夕暮れ時の公園で会うようになり、杏未とは週に一度、家の近くの喫茶店やファストフード店で会うようになった。



1年以上殻に閉じこっもていた私にとってはかなりの快挙である。

外の空気に触れる機会が増えてから、前より朝に感じる絶望や昼間に襲う劣等感のようなものが薄れたような気もするのだ。



杏未から貰った手紙の中に、マイとシホとは離れることにした、という情報が書いてあった。



私が不登校になったのが2年生の4月。それからちょうど1年──3年生になり、マイとシホとはクラスが離れ、そのまま流れるように疎遠になったそうだ。


2年生の時は、私が学校に行かなくなってからもある程度の行動は一緒にしていたようだけど、美術の授業で、華道部の木村さんとペアでスケッチをしたことをきっかけに徐々にマイたちのグループから距離を置いていたらしい。

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