きみと真夜中をぬけて






杏未はその話を「木村さんとペアになった偶然に頼っちゃっただけで、わたしはやっぱり度胸が足りないんだ」と話していたけれど、きっかけなんてそんなものだと思う。



私だって、きっかけがなかったらこうして外には出ていなかった。


私を諦めないでいてくれた母にも、私を忘れずにいてくれた杏未にも、常連認定してくれた真夜中さんにも、ただ超えるだけの夜を好きにさせてくれた綺にも、感謝してもしきれない。



偶然を味方につけることは、なにも悪いことではないと、私は思っている。



……とは言え、「学校」に関連すると問題は杏未との間にあった問題とはまた別の問題が発生するわけで、だ。


杏未の学校の文化祭に行く───それはつまり、マイやシホに会う可能性もあるということになる。

それ以外にも、1年生の時に同じクラスだった同級生たちと顔を合わせることは避けられない。



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