きみと真夜中をぬけて






空が、星が、とても近かった。




見上げると一面空で、視界を遮るものは何もなかった。


コンビニからは歩いて5分ほど。家からもそう遠くはない距離なのに、まるで別の世界に来たみたいな、そんな感覚になる。



しばらく言葉を失って、そこに広がる星空を見上げていると、繋がれた右手がクイッと引っ張られた。呆気に取られる私は、途端に現実に引き戻された気分だ。



目が合った綺は、とても嬉しそうに笑っていた。

どうだすごいだろ、感動するだろ。

そんな思いが、瞳に全て込められている。




「……すごい、本当に」

「だろぉ。近所ったって、そんなに通らないしな、ここ。俺も前に肝試ししにきてさぁ。そん時たまたま見つけたんだ」

「そっかあ……、いいな」



いいな。綺は、綺麗なものを沢山知ってる。探すのも見つけるのも得意で、概念ごと愛する力がある。


良いな、良いよ、綺は素敵な人だ、とても。



「良いって、蘭も同じじゃん?」



ぽつりと言葉を零すと、何言ってんの?みたいな顔をされた。「え?」と返せば、同じように首を傾げられた。



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