きみと真夜中をぬけて
「日之出くんの高校ってさ、制服めっちゃ可愛いよねぇ」
「女子人気あるとこだったっけ」
「そーそ。文化祭、毎年すごいって話!行ってみたいなーって思ってたけど、知り合いいないから諦めてたんだぁ」
「そうなんだ」
「しかも蘭ちゃんと一緒!今日はもう超ハッピー!」
ふふっと可愛らしく笑う杏未につられて私も笑う。
綺と杏未は、文化祭の話か出た後に一度だけ顔を合わせたことがあった。
夏の間、公園は暑いから夜のコンビニで私と綺はほぼ毎日アイスを食べている という話を、杏未にふらっとしたところ、「わたしも今度行ってもいい?」と提案されたのだった。
杏未に手紙の返事を出した時に、私の夜の行動については少し触れていたから、ようやく杏未とも夜を超える日が来たことが、その日はとても嬉しかった。
綺の絡みやすい性格もあって、最初は少し緊張していた杏未もあっという間に打ち解けて話をしていた。
思い返せば、私が初めて綺と会った日も、初対面とは思えないほどテンポの良い会話を交わした気がする。
綺の持つ柔らかい雰囲気は、人を惹き込む力がある。
そのことを改めて自覚して、綺はやっぱりすごい、と心の中で思った。