きみと真夜中をぬけて



「日之出くん、蘭ちゃんのこと大好きっぽいしさ。なんだろ、多分、すごく歓迎してくれると思うんだ。わたしからしたらなんで蘭ちゃんと日之出くんは付き合ってないのかわかんないけど、でもさ、わかるんだよねぇ」

「矛盾してない?」

「してるしてる!でもだってそうなんだもん。付き合うとか、そういう枠にいない気がする。唯一無二だよ、ふたりはさ」

「うーん…」

「ねっ。だから大丈夫!」




綺から貰う好きは特別だ。
大事にしたい。手離したくない。


だけどそんな大切な物を私なんかが受け取って良いのかという不安がある。

私の心を支配するのは、いつだって漠然とした不安ばかりだ。



けれどそれは、私が私をちゃんと認めてあげられるまで、きっと消えることはない。仕方のないことだと割り切ることも、もしかしたら大切なのかもしれない。


わたしと綺は唯一無二だから大丈夫。

あまりにも漠然としすぎている言葉だったけれど、杏未にそう言われてとてもホッとした。




「ね、ほらはやく行こ!」


心の中で杏未に感謝を伝え、手を引かれるままに綺の学校へと続く道を急いだ。



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