きみと真夜中をぬけて
名前ばかり在籍していた3年生のクラス担任は、現代文の授業を受け持っていた人だった。
温厚で優しそうな雰囲気が漂うおばあちゃん先生で、受験が本格的に始まって多忙な時期なはずなのん、突然「学校に復帰したい」と言い出した私にも丁寧に対応してくれた。
「言いたくなかったら言わなくてもいいです。どうして、学校にもう一度来たいと思ったんですか」
三者面談の時、先生は私にそう言った。
当然である。ネットで少し調べたけれど、小学校・中学校と違い、高校で不登校になると復帰が難しいらしい。
部活等をやっていた生徒だと尚更、留年することに抵抗がある人もいるとかで、そのこともあって通信制の高校も案として出してくれていたようだ。
どうしてもう一度学校に来たいと思ったか。
想像できる困難や周囲の目より、想像で心躍るような青春の方が多かったから。
自分で避け続けていたきらめきを、もっと近くで感じたかったから。
私の好きなようにしてよいと見守ってくれる家族と、一緒に泣いたり笑ったりしてくれる大切な人が背中を押してくれたから。
───だから、
「今の私なら、頑張れる気がしたんです」