きみと真夜中をぬけて
人を好きになることに、理由は多くなくていい。
誰が何と言おうとこれは恋だ。
どんな風にとか、どこがとか、これが恋かどうかとか、私がもやもやと考えていたことなんて、そんなに需要なことじゃなかったみたいだ。
一緒にいたい、もっと知りたい。
私のことも知ってほしい。
でも、それ以上に────
「私も、綺のこと好き」
「だよなわかる───…んえ?」
「好きだよ。それ以外に、言い方ないかも」
好きなんだ、この人のことが。
ただ好きという気持ちを知ってほしいと思う。付き合うとか、彼氏とか彼女とか。
そういうの関係なしに、綺と同じ世界を見ていたい。
好きだ、大好きだ。
これ以上に抱えた感情を上手く伝える方法は、私もわからなかった。