きみと真夜中をぬけて
俺の不甲斐ない過去の話だ。
俺には好きな人がいた。
隣のクラスのその子とは、学校ではあまり関わる機会がなかったけれど、偶然アルバイトの応募をしたカフェで彼女が働いていて、そこから話すようになった。
こんなことを自分で言うのはバカらしいというのは重々承知の上で────運命なんじゃないかとすら思っていた。
俺の好きな人は、明るくてよく笑う、とてもかわいらしい女の子だった。
仕事もできるし、バイト先の人とのコミュニケーションも上手にとっていた。
一般的に、上手く世を渡っていく、社会に好かれそうなタイプだと思う。
だからまさか、彼女が突然バイトを辞め、さらには学校に来なくなるなんて、想像もしていなかったのだ。