きみと真夜中をぬけて






綺麗だとは思う。けれど、私が星空を見て抱くその感情は、「好き」とは違うような気もする。

ただ、よく光るなぁとか、星数えたら眠くなるかなとか、そんなことを思う程度。


それ以上の感情は、いだいたことがない。




「…何も、感じたことない」

「そっか」

「うん、ごめん」

「いーって。なんの謝罪」




なんの謝罪、だったのだろうか。


綺が愛おしそうに見つめているものに対して感情が揺れなかったことにか、話を弾ませられそうにないことに、か。

わからないけれど、なんだかやるせない気持ちになったことは確かだった。



「うん、だよね」

「意味を理解してないままの謝罪ほど無駄なものないから、やめときなよ」

「…うん、だよね」



うん、そうだよ。

綺が笑う。柔らかくて優しい声色だった。



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