きみと真夜中をぬけて





コンビニを出て、数歩歩いてプシュ、とレモンサワーを開ける。


どうせ夜だ。

この辺りは住宅街で、22時以降はあまり人が通らない。歩きながら飲酒したって許容範囲だ。



レモンの酸味と炭酸の刺激が沁みる。

アルコールも煙草も頻繁に摂取しているから、僕はきっと早死にしそうだけど、優しい世界に新しく産み落とされるならそれはそれで本望だな。


そんな馬鹿なことを考えながら、僕はひとり帰路についた。






























僕が、金銭的かつ健康的にではなく、誰かのために煙草を辞めようと決意するのは、そのまた半年後のこと。

人生に光が差し込むきっかけなんて、些細なことに過ぎないのだ。僕は、身をもってそれを知ることになる。




ちなみに、ゲンチュウさんがゲンチュウではなく マモナカさんだったと知るのはその数ヶ月後の話。


比較的いつもより早く退勤した時に、入れ違いでゲンチュウさんの前にシフトが組まれていたであろう女性の店員が、「おつかれマモナカくん!」と言っているのをたまたま耳にしたのだ。



幻中、マモナカ。
なるほどまじか、カッコイイな。



そう、思った夜のこと。




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