きみと真夜中をぬけて








「お、来た。やっほー好きな人」

「その絡み方なんなの?そろそろ飽きないの」

「飽きるとかじゃねえんだわ。恋心を噛みしめようとしてるだけ」

「恋じゃないってば」

「俺は恋なのー」

「…頭おかしい」

「多少のイカレ具合は人生において必要なことであーる」



ひんやりと冷たい温度をお尻に感じながら、ティッシュで軽く水気をふき取ったベンチに座る。

今宵も私の第2の家(公園)にやって来た綺は、どや顔でそう言った。なんなら「どや!」って口で言った。どやもなにもないのだけれど。


プシュ、と缶を開ける音が聞こえ、流れるように隣に座る綺に目を向けと、その手には600mlのコーラ缶が握られていた。600mlなのにペットボトルじゃなくて缶なんだ…となんとなく思う。


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