きみと真夜中をぬけて







たどり着いたのは、家から歩いて5分ほどのところにある公園だった。


そこが、私が夜を過ごす場所。



(……濡れてる)



今日は午前中に雨が降っていたから、その影響でベンチが濡れていた。


晴れた日はここに座って音楽を聴いたりスマホを弄ったりして2時間ほど過ごすけれど、濡れたベンチに座るような心持はないので、ふぅ、と息を吐いてブランコに向かった。



6月になり、晴れた日と雨の日が交互に訪れるようになった。もう少ししたら梅雨が本格的に始まりそうだ。



ブランコの雫を適当に手で払い、スニーカーのままそこに立つ。

「ブランコの立乗りは危ないのでやめましょう」と小学生の時口癖のように言っていた担任は、立乗りをして足を滑らせけがをしたことがあると言っていた。


経験者の言葉に重みを感じるのは、された側の気持ちがわかるからなんだよなと、ぼんやりと幼き記憶を思い返しながら考える。



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