きみと真夜中をぬけて
わかっていた。もしあの場で杏未がマイたちに意見していたら、ターゲットにされる可能性があったこともわかっていた。
人は皆、自分主義である。保身するのが当たり前。
それはなにも、悪いことではない。
私だって、杏未の立場だったらそうしていたことだろう。
それでも、自分を置き換えて考えることができなかったのは、杏未に見捨てられたのが、単純にとても悲しかったからだ。
人は脆く、呆気なく、とても虚しいものである。"友達"とは、なんて都合の良い呼び方なのだろう。
うちら友達だよね、ずっと一緒だよね、蘭気に食わないから明日から無視ね。春休み、蘭だけ抜きで遊ぼうよ。
聞こえるはずのない、私を抜いた3人の会話が脳内を廻り、息が出来なくなった。