きみと真夜中をぬけて
「……み、見ない」
「え?友達なんじゃないの?」
「っ違う……、杏未は、ちがう…っ」
友達だった、私にとっては。だけど杏未にとってはそうじゃなかった。簡単に切り捨てられる存在だったのだ、私は。
杏未がどうして1か月経って、手紙なんて送って来たのか。ラインも電話も、学校に行くことをやめた1か月の間に鳴った試しはなかった。
怖かった、中身を見るのが。
杏未がそんな子じゃないことくらい、マイよりもシホよりも私がいちばん分かっているはずなのに、これまでため込んできた鬱憤や悪口がつづられていたらどうしようと、そんなネガティブが勝ってしまった。
「……す、捨てといて」
「えぇ?でも、蘭…」
「いいからっ」
私は弱い。弱くて、どうしようもなく、脆いから。
「……その子知らない。友達じゃ、ない」
杏未から届く手紙は、この1年、一度も封を切ったことがない。