きみと真夜中をぬけて








「…まぁ、お母さんには全部お見通しみたいでさ。手紙届くたびにわざと私に報告して、リビングの引き出しで保管してるみたい」



一通り話し終え、ふー…と息を吐く。


夜はいつだって長くて静かだ。

どんなに心が壊れそうな時も、比較的穏やかな時も、平等に夜が来て、朝を迎える。矛盾だらけの世界で、唯一人間が平等でいられる時間だと私は思う。


にじんだ手汗をTシャツの裾を握りしめるようにふき取る。

手紙のことを知っているのは母以外にいなかったし、これまでもこれからも誰かに話す気はなかったから、まさか知り合って10日の男に話すことになるなんて思わなかった。



だけど少しだけ、抱えていたわだかまりがほぐれたような気もしている。
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