きみと真夜中をぬけて
お菓子コーナーに向かい、スナック菓子やチョコレート、グミ、おつまみ…と、ありとあらゆるジャンルのお菓子をカゴにぶち込む。
予算は1000円。いつもは硬貨のみをポケットに突っ込んでいるから、財布を持つことも、その中にお札を入れたのも久しいことで、少しだけそわそわした。
お菓子を入れたかごを持ち、レジに向かおうとした途中でふと、飲料コーナーが目についた。アルコールが置いてある棚の、隣。
コカ・コーラの600mlの缶を見つけて、2つ、カゴに入れた。
学生の男性店員が待つレジに向かい、重いカゴをドスンと置く。「レジ袋、ください」と言えば、「うす」と短い返事が返ってきた。
ピッ、ピッ、機械音が響く。
レジの画面に映し出される金額が、機械音とともに増えていく様子をただぼーっと見つめていると、「…お客さん」と店員さんから声をかけられた。
ぱっと顔を上げると、店員さんは商品から目を離さず手を動かしたまま、口をゆっくり動かした。
「今日は、いつもより早いんすね」
「…え?」
「あと、買うものも多い。なんか、楽しそうっすよ、お客さん」