きみと真夜中をぬけて
私はもう、学校には行けない───行かない。
学校は青春をするためにあるものだと思っていた。苦くて甘い思い出が当たり前のように刻まれると、そう信じていた。
中学は良い友達に囲まれた。だから、高校でもうまくやっていけると漠然とした確信をもっていた。世界は美しいものだとばかり思っていた。
けれどそんなのは全部、所詮おとぎ話に過ぎなかった。
そこに在ったのは嘘と嫉妬と、軽薄な言葉。
私は、その事実に打ちのめされてしまった。
ひとりで公園で過ごす夜の方がずっとずっと平和で優しいことに気が付いた。
学校に行こうが、立ち止まったままの人生を送ろうが、毎日平等に夜が来る。その事実だけは、生きてる限り これから先も絶対に変わらない。
それだけが、今の私がある理由のような気もした。
「やっぱ夜サイコー…」
夜の風が頬を切る。
つめたくて、それがとても気持ちよかった。