きみと真夜中をぬけて
「……私は、蘭。名生 蘭です。名前のナに、生きる。蘭は、コナンくんの蘭ちゃんと同じです」
「ああ、なるほ。ミヨー ラン。素敵な名前っすね」
「またアイス買いに来ますね。真夜中さん」
「はは。うん、はい、待ってます。いつでも、おれはここでジジイをぶちのめす方法考えてますんで」
「物騒ですよ」
「煙草の銘柄とか知らんのですわ。逆に知ってますかミヨーさんは」
「マルボロは、よく聞きますけどね」
「おれは、肺が綺麗めな男でモテたいです」
「真夜中さんは喫煙者でもモテますよ、顔が良いから」
「あんま当てにならんすね、ミヨーさんは夜の覇者だから。昼間のコンビニは、かっけーリーマンがわんさかいますよ」
「昼のコンビニに用はないです」
「はは、ウケますね」
「ウケますか」
「ウケます。はは、うん、ウケた」
「棒読みやめてください」
夜のコンビニ店員、幻中 光───通称真夜中さん。
それは、彼と初めて話した夜のこと。