きみと真夜中をぬけて





綺と出会ってからの11日間、毎日欠かさず両親の目を盗んで私に会いに来てくれていた。



耳からイヤホンを外す。耳のそばに響いていた音が消え、静まり返った。




ぼんやりと空を見上げる。


きみが居ない夜は久しぶりで、そのくせ、ムカつくほどに星がよく見えた。




『やっほ、好きな人』




綺と一緒に この空を見上げたかった。

寂しさが募り、それだけが、私の頬を濡らした。






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