きみと真夜中をぬけて




綺は毎日当たり前のように公園に来ていたけれど、それが「ずっと」続くことだなんて、そんな約束はしていなかった。

「絶対明日も来るよ」なんて、綺は一度も行ったことがない。




人が脆く弱いこと。当たり前を当たり前だと思い込んでしまうこと。本音をすぐに隠してしまうこと。


人間はいつだって完全攻略が不可能で、「ずっと」とか「絶対」が一番守れない生き物。


知っていた、わかったつもりでいた。

けれど、どこか消失したような気もちだった。





梅雨が終わりに近づいている。


晴れの日が増えた。星が多くなった。

1か月弱で私を取り巻く環境は徐々に変わっていて、そのくせ変化をもたらした張本人は────突然、会いに来なくなった。



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