きみと真夜中をぬけて
学校が嫌いだった───…いや、嫌いに「なった」。
嫌い という言葉は好きだ。「苦手」でも「好きではない」でもなく、真っすぐな嫌悪感だけが伝わるから。
曖昧なことは苦手だった。言いたいことははっきり言えばいいのに。言葉を誤魔化して生きることに何の意味があるのか、私には到底理解しがたいことだった。
嘘を知らないままの私はとても無知であり、同時に人間を美化しすぎていたことを、不登校になってから知った。
私が通う高校には、同じ中学からは私ともう一人の女子生徒が進学しただけで、仲良くしていた友達はみんな離れ離れになった。
「時々会おうね」
「彼氏できたら報告しようね」
卒業式にそんな会話をした同級生とは、高校1年生の頃に数回顔を合わせて以来、それっきりとなった。
それぞれの高校での付き合いがあるから、当然と言えば当然のことだった。