きみと真夜中をぬけて






暑さゆえのことなのか、早朝に目が覚めてしまった私は、二度寝を試みるも湿気に耐えきれず身体を起こした。



こんなにも早く起きたのはいつぶりか。

不登校になり、深夜の徘徊を日課にするようになってから、朝目覚める時間が、学校に通っていた時に比べて1時間ほど遅くなった。



遅刻だなんだと焦る必要がないところが、不登校の利点だった。とはいえ圧倒的に欠点の方が多いから、大して嬉しく思ったこともなかった。



夏の朝は早かった。5時も6時もそう変わらず、部屋の窓からは太陽の光が差し込んでいる。




母はいつも何時に起きているのだろう。



スマホで時刻を確認すると、デジタル時計は5時13分を示していた。

そっと耳を澄ますも、小鳥の気持ちよさそうなさえずりが心地よく耳を抜けるだけで、人が動いているような音は聞こえなかった。まだ、起きていないみたいだ。


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