鶴の音返し
カラーン、カラーン

脆く乾いた音なのに、
身体の芯まで響き渡る鐘の音。

綺麗

鳴り終わるまで、
思考を止め、
虹音を堪能する。

「ここ、いいな。」

「ですよね。
私、いいことがあったとき、
嫌なことがあったとき、
必ずここに来て虹音を聞いてから歌うんです。
そのとき一番に思い浮かんだ曲を。」

「今は何が浮かんでる?」

「あと少しで分かりますよ。」

と、隣で動きがあった。

起き上がったのかな?
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