鶴の音返し
昼休み、私に食べるものはない。

どんなに忙しくても毎日作ってくれていたお母さんのお弁当。

でもそれはいじめの材料にしかならなかった。

隠す暇もなく、
美味しいお弁当が心と共に汚されていく。

それが耐えられなくて、
申し訳なくてお母さんにぶつけてしまった。

「もうお弁当なんかいらない!」

それ以降、私のスクールバッグは軽くなった。
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