鶴の音返し
教室にいても標的にされるだけ。

だから私は静かに、
気配を悟られぬよう席を立ち自分だけの城へ向かう。

この学校には
最近リフォームされた素敵なトイレが
各フロアに存在する。

だが1階に唯一
開校当初のままの職員用トイレが取り残されている。

公園にある公衆トイレがましに感じる汚さだ。

だから生徒はもちろんのこと
先生すらも立ち入らない。

私の日課は、
お腹の鳴りを我慢しながらこの城を掃除し、
奥の個室で日記を書くこと。
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