鶴の音返し
思わぬプレゼントを受け取り、
もう体調は全快です。

いつ両親が帰ったのかも分からないくらい、
その未完成なギフトを眺め続ける。

綺麗だなー、
器用だなー、
角とかハサミより尖ってじゃん。

一人で感心しながら眺め回し、
最後の一手間、
息を吹き込んで完成させた。

すると、
その真っ白な鶴の身体が人の手によって汚されていた。

"よく頑張ったな"
と。

その一言が嬉しくて、嬉しくて、
手のひらに乗せた鶴に向かって人生最高の笑顔で

「ありがとう」

とこぼした。
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