鶴の音返し
「すみません、お待たせしました。」

「いいよ、それでなに?」

こっちに視線を向くことはあるが、
ペンを持って何かを書いている。

「先輩のクラスの人から、
今日学校休んだことを聞いて。
そんなに悪いんですか?」

「どこまで聞いた?」

作業の手を止め、不機嫌そうな顔を向けてきた。

「いえ、詳しくはなにも。それを聞きたくて。」

「話す必要ないだろ。」

仏頂面でもいつもは温かい彼。

今は違う。

本気の嫌悪感を漂わせている。
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