訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
「お前は死んだんだよな?ずっと昔に…」
〔そうだ〕
「なのに…、何で今生きてるんだよ」
〔…ッ、ハハハハッ!〕
「っ…な…っ!」
〔無知とは、真に滑稽な事だ。一度力尽きた位で死なぬわ〕
死なない…っ!?
…でも、僕の友達は死んだ
「…どうして?僕の友達を…っ!どうして欲が出ただけで殺したっ!?
欲は誰でも持ってるモノだっ!
祠にあった水晶を欲しがっただけで殺しただと!?
ふざけるなっ!!!」
ドラゴンの目がピク…と動く
〔貴様…〕
「…っ!」
空気が重い
睨まれるだけで、体が竦む
〔何も知らぬというのは、あまりにも滑稽で…、腑が煮えくり返るモノだ
己で考えもせず、思った事をただぶつけ、納得しなければ勝手に怒り狂う〕
「…っ」
〔それを聞くのなら我の問いにも答えよ
欲深き貴様等人間は、我を殺せば不死が手に入るなどと勝手な考えで我に毒を飲ませた!
動物を囮に使ってまで!
救いを差し伸べたのに、それ以上の欲をかきっ
あまつさえ欲の為だけに我を殺したのだっ!
欲が出ただけで何故殺しただとっ!?
それを貴様等人間が怒り問うのかっ!!!〕
「…っ…」
〔やはり人間は、己の都合が良い様にしか物事を考えぬ…愚かな生き物よ〕
「! 何だと!?」
〔喚くな、我は事実を言ったまで〕
ドラゴンが空を見上げる、どこかへ飛ぶのか!?
「おい!どこへ行く気だ!?」
〔ここに居たのは水晶の状態で回復する為
貴様等が好き勝手に狩りをする所為で、この地の護るべき動物は去っていった
我がここに居る理由は無い〕
「な!? 別の所で人を殺す気か!?」
〔…そんな愚かな考えしか出来ぬのか
言っておくがな、貴様には呪いが掛かっておる〕
「!?」
〔我の意図した所ではないが…
我の水晶を欲した欲深き人間の血肉を浴びたであろう、…皮肉だのう
恨むのなら、欲をかいた友を恨め〕
「…っ!…ど…っ、どんな呪いだよっ!?」
〔不死の呪いだ〕
「ふし、…不死!?そんなのが呪いなのか!?」
死なずに済む呪いなんてあるのか!
〔…貴様、まさか…、喜んでおるのか…?〕
「当たり前だろ!不死だぞ!?死なないなんて、皆が羨ましがるぞ!」
〔…やはり、人間は、…愚かな種族よのう〕
「ドラゴン!お前は今まで多くの人々を殺してきた、だからお前は死んで償うべきだ!」
〔…〕
「けど今の俺じゃお前は殺せない。いつかこの手で殺してやる!!」
僕はその場から走り去り、そのまま城へ戻った