訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
だが…、その考えは浅はかだった
呪術書は、あくまで人間を対象としたモノだった
そして呪う条件は、呪う対象と同等のモノでなければならない
アルが呪い殺そうとしてるのは、神と同等である…ドラゴン
そんなモノを対象にしたのに
生贄が2000万人必要な、人ひとりを特定の呪いに掛ける呪術などで釣り合う筈が無い
そもそも、禁忌だろうが高等の呪術だろうが
神に並ぶドラゴンなら、呪い返しが簡単に出来てしまう
そんな事は露知らず
アルは自国へ帰り、禁忌の呪術を発動した
生贄となった国民は1人残らず灰と化したが、当然…ドラゴンは強制召喚などされず
対象が無い呪術は発動した者に返り
アルは1日…いや、一瞬にして、ズメイ国を滅ぼしてしまった
そして…
人を呪わば穴2つ
呪術を使用し
成功しても不治の不調をきたすか…いずれかの部位を失い、失敗すれば必ず死に至る
呪い返しを受けた者は、どんな呪いだろうと激痛を味わいながら死に至る
死に至った先にあるのは…無
天国でも地獄でもない…、何も無い暗闇を永遠と彷徨い続ける