訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

「やっと見つけたぞ!!」

横の森から、アルさんが憎しみの篭る表情で出てきた
檻の側に居る俺達を見ると

「ああ!皆さんも居ましたか!
 さあ!早く殺しましょう!」

アルさんが一歩踏み出すのと同時に
俺達はドラゴンの前に立ち塞がる

「? 何をしてるんですか?
 もしかして、貴方方だけでソイツを殺すと?」
「違う」

姉さんが小さく…でもハッキリと言った
姉さんは一番前に出る

「アルさん、私達はドラゴンの記憶を見ました」
「ソイツの…、記憶を?」
「アルさんの国を滅ぼしたのは彼じゃない、アルさん自身だ」
「…、何だと?」

アルさんの雰囲気が変わる

「国の人々を犠牲にして貴方は彼を殺そうとした
 でも、彼にはそんなのは効かなかった
 貴方が彼を…、神と同等であるドラゴンの事を少しでも知れば
 人間の呪いなんて効かないって分かったかもしれない
 沢山の人々が死ぬ事はなかった
 仮にもし、彼に非があっても…、もう十分償ってる
 途方もない時を、この檻の中で生き続けてるんだから…
 力を奪われ続けたから、彼は弱ってる
 お願い、これ以上…命を奪わないで」

姉さんが必死に訴える
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