訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
〔奴の気配が消えた…〕
栞はドラゴンに体を向ける
〔改めて、感謝する。レン、シオン、そして…、シオリ〕
「おう」
「ああ」
「これからよろしくね ゼルファ」
〔うむ 其方に、この身を託そう」
ゼルファが光り、小さくなって栞に吸い込まれていく
すると
ドクンッ!
「…っぅ!」
栞は胸を抑えて蹲る
「「栞(姉さん)!」」
〔〔我が主(シオリ様)!〕〕
蓮が栞の肩に触れると
ジュッ!
「熱っ!」
「蓮!?」
「何だ…!?この熱はっ…」
「はぁっ…はぁっ…、ぅあ…っ!」
栞はドサッ…と横たわり、荒い呼吸を繰り返す
「栞!」
「姉さんっ!」
蓮が熱さを無視して栞を抱き抱え
紫音が栞の手を握ると
「何…、これ…」
栞の手や腕にはドラゴンの鱗が
〔…、恐らく、竜化だ〕
「「竜化?」」
〔ゼルファ…、ドラゴンを受け入れようとされ、影響が出てきている
本来ならばコレで全身を侵食され、生き長らえてもドラゴンの支配化であろう〕
「それって…、つまり…」
蓮が不安気にラルフに問う
〔案ずるな、本来ならばと言っている。我が主なら大丈夫だ〕
「…、ラルフは、何で知ってるの」
〔神獣がそうだからだ
もし真の主とは違う者と契りを求められ、無理矢理でも体に入らされれば
体内から食い殺してやる
ゼルファは我が主に敵意は無い
消えるまでにどれだけ掛かるかは分からぬが…〕
「どれだけって?」
〔我が主といえど、ドラゴンを身に宿されるのだ
人間がドラゴンを宿す事事態が、過去に無い事…
鱗が消えれば、受け入れられたとみてよいだろうが
恐らくは数日、長くて数ヶ月は掛かるだろう」
「っつう事は…、この状態が、もしかしたら数ヶ月続くって事か?」
〔…〕
ラルフは顔を顰めて俯く
だが
スゥ…と鱗が体内に消えていく
「「〔!?〕」」
熱も下がり、呼吸も安定する
「…、受け入れれた?」
「もう、栞は…、大丈夫なのか?」
〔…、ああ…、問題無い様だ…〕
蓮と紫音は胸を撫で下ろすが、ラルフは驚愕していた
〔(おかしい…。我が主といえど…、この数分で受け入れられたのか…!?
それに、共有される筈の熱や苦痛が全く来なかった…
…レノ)〕
〔(…ああ。私にもシオリ様が苦痛に耐えている事は伝わってきたが
感覚としては何も来なかった…)〕
〔(…では、我が主はやはり…)〕
〔(ああ。私達が苦痛等を受けぬ様に、魂に何か細工をされた様だ
情報だけが、伝わる様に…)〕
〔(…、誠に、お優しいお方だ)〕
〔(そうだな。誠に…、私達が仕えるに相応しいお方だ)〕