訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
〔もう我慢出来ぬっ!!〕
ゼルファ…っ!?
バキッバキッバキッ!と何かが壊れる音が聞こえ、栞が白く光る
「…ぅ…っ」
栞は胸を抑えて苦しそうにしてる
「栞!?」
「姉さんっ!?」
紫音が駆け寄ると、白い影が頭上に広がっていく
影が次第にドラゴンの形になっていき
ゼルファが本来の大きさで現れた
〔グルルッ…!!!〕
唸り声を上げ、皆を威嚇する
「ド…ッ!?ドラゴン!?」
「こんなのを宿してるなんてっ…、やっぱりバケモノだっ!!!」
栞がビクッ!と肩を震わせ、涙を流して俺にしがみつく
〔貴様等…っ!我が家族を愚弄する事は許さんっ!!〕
ゼルファが口を開け、力を込める
「うわぁっ!?逃げろぉ!」
皆が慌てて逃げていく
〔逃すかっ!〕
「だっ、駄目っ!止め…てっ!」
栞が震えながらゼルファを止める
〔止めるなっ!〕
「お願…いっ!皆を、傷付け…ない、で…っ!」
〔だが此奴等はお主をっ!〕
「お願いっ!!」
〔…っ、分かった。ならばこの国を出るぞ!」
周りが白く光り、目を瞑る