訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
市場を歩いてる中
出回ってる話は、私に関する事だけ
身元を隠すのは私だけで良さそうだ

「栞、ひとまず整理するか?」
「…、そうだね」

近くの食事処に入り、隅のテーブルに

「さてと、まず…私達の敵は悪魔ってとこだね」
「しかもサタンって名乗ってたな…」
「サタン、悪魔の頂点にいる…悪の根源とされる悪魔」
「前に読んだ本には
 《悪魔は天使に強く、天使は精霊に強く、精霊は悪魔に強い》ってあった
 この三竦みの関係で考えれば、数で言えば圧倒的だけど…」
〔確かに、それで考えれば私達に勝機があります〕

レノの声だけ聞こえる

〔ですがサタンとなると…、相手が悪過ぎます〕
「私達がもっと魔力を上手く使いこなす
 かつ…皆の力があれば、どう?」
〔…分かりません。相手がサタンだけだったら話は別ですが
 一緒にいた…アル
 あの者の負の感情は絶大です
 ソレを糧にしている今、勝てるかどうか…〕
「…サタンは、精霊と同じ様にこの世界にいんのか?」

視線が蓮に集まる

「精霊や神獣は主、…つまり、契約者の魔力を糧にしてこの世界にいるんだろ?
 だったら悪魔だって同じじゃねぇか?
 アルから離せれば、糧が無くなればサタンはこの世界から消える
 アルさえ何とかすれば勝てるんじゃねぇか?」
《!》
「その為にはまず、アイツの事を知らないとだけどな
 どんな魔法を使うのか…」

…それだったら

「ゼルファ、何か知らない?」
〔…すまぬ
 長年に渡り、彼奴が我を殺めようとしていたが
 その全てが呪術なのだ
 故にどんな属性魔法を使うのか、何も知らぬ
 だが、前に言った通り…彼奴は不死の呪いがある
 人間と精霊を引き離すには、人間が死に絶えるのが一番早いが
 サタンと不死の男…、まさしく最悪の組み合わせよのぅ〕
「…呪いを解く方法は無いの?」
〔…、解けるかどうかは分からぬが
 神は彼奴に罪という言葉を使っておった
 罪は、いずれ許されるモノ…
 もしかしたら…神なら解けるかもしれぬ〕
「「「…」」」

神…、ゼルファの記憶を読む内に確かに声だけいたけど…、

「神なんて、どうやって会うんだ?」
「「…」」
〔主〕
「? 何?」
〔我に思い当たる事が…〕
「?」
〔我は神獣…狼神族の末裔です
 神と関わり合った事は無いのですが、狼神族に伝わっていた事があります〕
 
《狼神族は神よりも人間に近い場所に存在する
 故に人間の願いを聞き、神に届けるのが役目
 届ける場所は、人間世界の最も神や我等に近い場所
 それは…、神が最初で最後に作りし神竜が降り立った地》
「…しん、りゅう…、神の竜?」

竜…ドラゴン…、…ゼルファ?

「もしかして、ゼルファが…、神竜…か?」
〔…、我の居た地が、その場所だと?〕
「ゼルファは、その場所に居る前の記憶は無い?」
〔…、分からぬ。気付けばあの地に居た〕
「…とりあえず、手掛かりが手に入った
 ズメイ国があった場所の近くの森が、きっとその場所だ」
「…けど、そもそもズメイ国がどこにあったのか」

確かに…、
ズメイ国はドラゴンによって滅んだ国と歴史書に載ってるだけで地図からは無くなってた

「…そこまで行くのに沢山の魔物がいるだろうし
 それに、きっと国も跨ぐ
 色んな国に入る為に今の俺達には、身分を証明するモノが無い」

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