訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

「? 何で?石化、…してない」
「アレは仮面を着けてても、いや…、大抵の防御をしてても石化するのに
 一体、何で…」

周りの騒めきを他所に

「次が最後だな」

チビは元の位置に戻る

「お前…、何で動けてる」
「どうでもいい、次」

どうでもいいって…

「…はぁ 来い、ヒュドラ」

また蛇の魔物だが、コイツは今の奴とは比べものにならねぇ
3つの頭を持ち、息には致死性の毒がある
周りは恐怖で立ち竦んでる
それもそうだ
今までで、コイツに挑もうとした奴はいない
コイツを出すのは、俺なりの慈悲だ

「棄権するなら今の内だぞ?」

流石にギルド内で死人は出したくねぇ
しかも、こんなチビを…

「まさか」

チビは俺の心配を他所に即答しやがった

「…」

…頼むぞ
魔物は口に魔力を溜め込み、チビ目掛けて一気に吐き出す
3つの紫色の光線がチビにぶつかる瞬間、四方八方に分散する
そして、1つの首がはねた
…だが、瞬く間に新しい首が2つ出てくる

「超速再生…」

チビがボソッと呟く
そう、コイツは…、ただ首を落とすんじゃ倒せねぇ

「そういえば、コイツは不死じゃなかったか?」
「え!?じゃあ何処を狙っても無駄じゃねぇかっ!?」

周りの言葉に、ピク…とチビが反応する
……今まで全く動かさなかったのに
片手を魔物に向けると

「なら、再生出来ない様にするまでだ」

瞬間
魔物の首が全てはねる

「だから駄目だって…」

周りが呆れる中

「…え」

思わず、声が漏れた
首が、1つも再生しない

「…え、何で…」
「何で再生しないんだ?」

周りが混乱する中、男2人は平然としてる
今までの試験もそうだ
コイツ等、初めっから焦りや怯え…不安が一切無い
魔物は再生出来ずにフラフラと動き、遂には倒れた

「これで私も合格?」
「…ああ お前も合格だ」
「「「…おお…っ!うおぉおおおおっ!!!!」」」

チビが仲間んとこに戻るが
やっぱり周りみてぇに、はしゃがねぇな
…こりゃあ、何年かに一度のスゲェ奴等が出てきたな


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