訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
紫音side
俺達は少しだけ離れ、姉さんとゼルファが森の中心に立つ
姉さんが目を瞑り集中すると、白く光り始め
開いた目は、ゼルファと同じ竜の目に
顔や腕にスゥ…と鱗が現れ、爪まで竜化する
両腕を横に上げれば、上空に白く輝く魔法陣が
ソレからキラキラと光の粒が森に降り掛かり、討伐で傷付いた痕が治っていく
姉さんを見れば、肩で息をしてる

〔もうよいぞ、ご苦労だった〕

姉さんがゆっくりと腕を下ろせば、魔法陣が消える
蓮は姉さんの頭を撫で

「お疲れ、後は任せろ」
「…、ん」

姉さんが蓮に凭れ掛かると、すぐに寝息が聞こえる
蓮が抱き抱え、顔を覗けば次第に鱗が消えていく
ゼルファの力を使うのはコレが初めてじゃない
ゼルファを体に受け入れて、絆もあるから
暴走、なんて最悪な事にはならない
でも神竜の力を使うのは、精神や身体に思った以上に負担が掛かるらしく
最初の頃は少し竜化しただけで気配や五感が敏感になり過ぎて困ってたし
魔法を使うどころじゃなくなった
竜化を解いたら寝るというよりも気絶してた
ゼルファが付きっきりで指導してくれて
今ではさっきみたいに魔法が使えて、竜化を解いても気絶はしなくなった
姉さんは蓮に任せて
俺は依頼主とギルドに結果を報告しに行った
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