訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
「ミルデ、いつもの「はい、どうぞ♪」」
言葉を言い切る前に出されたのは
クエストを終えてから必ず飲むミルクティー
最初はこっちの世界でもあるんだってビックリした
「ありがと」
カウンター席に腰を下ろし、ホッと一息つく
「ねえシオリ、少しだけでいいから…仮面、取ってくれない?」
「…何度言わせるの、ダメ」
「やっぱりダメか〜…」
ここに来てから色んな人が仮面を取ってと言ってくる
そういえば、ミルデが最初だったな
『ねぇ、何でいつもフードと仮面着けてるの?』
カウンター席に座ってたら
カウンターの内側に居るミルデが首を傾げてる
『…、』
蓮と紫音を横目で見る
『大切な人達を、護る為』
『…』
ミルデは少し考えた後
『…そっか。じゃあもう1つ質問!
何で1人でここに居るの?』
『…』
『レンやシオンと一緒に、…皆と一緒に、…どう?』
『…』
私はミルデが分かる様に、微笑んで
『…ありがと』
ミルデは私が初めて見せる口元の表情に驚く
でもすぐに優しく微笑んで仕事に戻る
最初は、見た目で討伐は止めた方がいいと言われたけど
クエストの受注と報告をしてる内に、今の感じになった
ミルデはお姉さん的存在で
あまり話したくない時とかは、深入りしないでくれる
蓮と紫音も、皆と話してても気に掛けてくれてて
無理に輪の中に入らせようとせず、静かに見守ってくれる
報告後はミルクティーを飲みながら、ギルドの書庫から借りてきた本を読む
ちなみにラルフは子犬サイズで私の腕の中で寝てる
何故、人の目がある所で堂々と寝てるのか
実はゼルファが
〔人間には動物を常に連れておる者もおる
狼ではなく犬だと思われ、言われるのを耐えられれば、
外で堂々とシオリの側におれるぞ?〕
〔…〕
『ラルフ、…どう?』
〔主の側にいられるのであれば、何にでも耐えられます〕
という訳で、家以外でも気兼ね無くラルフといられてる