訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
新たな家族

「…、!」
「この!…っ!」

自分に降り掛かる罵声と、容赦無く痛め付けられる体
何でこんな事になってるか…、仕事が失敗したからだ
まあ仕事が上手くいっても、コイツの機嫌が悪ければ八つ当たりされる
こんな事が俺にとっては当たり前の日常で
こんな奴等でも、いないと俺が生きていけない
だから今日も、いつ終わるか分からない暴力に耐えないといけない

「ったく、あぁ〜っ!!苛つくぜ。おいクソガキ、今日が何の日か分かってるよな?
 さっさと取ってこい」

奴…ドグはそれだけ言うと、目の前から消える
あぁ、やっと終わった
体中に走る痛みを我慢して、ゆっくりと起き上がる
奴の所為で汚れた服、…いや、元から汚れてるか
軽く叩いて、側にある桶の溜まってる水に顔を映す
泥だらけ、殴られたから頬が赤い…、口から血も出てる

「…俺は……、」

俺はいつまで、
ギリッ…と歯を噛み締める
水を飲んで喉を潤すが、俺にはこれだけじゃ足りない
こんなただの水じゃ…っ
早く取ってきて、ドグにアレを貰わないと
アイツに投げ捨てられた布を頭から被り、外に出る
周りを見渡せば、能天気に目の前を歩く人間共

「…ッチ」

俺がこんな思いしてんのに…、お前等はっ…!
ドクンッ!

「…っ、…ぅ…」

怪我とは別の痛みが体に走る

「くそっ…」

早く…っ、早く取ってこねぇと…っ!


< 185 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop