誘惑の延長線上、君を囲う。
本当は酔いなんて覚めている。無理矢理に日下部君の顔を私の方向に向けて、唇を重ねた。

この温もりを、いつまでも覚えていたい。日下部君の唇の感触も、骨ばった長い指も、細いけれど筋肉質な身体も……、全部を脳裏に焼き付ける。

「今日の琴葉は、やけに積極的だな」

日下部君のトップスを脱がせた後、カチャカチャと日下部君のベルトを外す。

「やっぱり、ベッドでしようか?行こうよ、ベッドに」

日下部君の手を取り、ベッドまで連れ出す。日下部君の頭の片隅に秋葉さんが居たとしても、今、この瞬間だけは忘れていて。今は私だけを見て、考えていて欲しい。

ベッドに来た途端に私は押し倒され、形勢逆転する。濃厚に絡み合い、時間が過ぎていく。日下部君の全てが心地好くて、気持ちが高ぶる。

大好きだよ、日下部君。

今は大好きでも、いつか必ず、大好きだったと過去になる。忘れる事の出来ない恋愛を胸の内に秘めて、違う誰かを好きになる日がきっと来るから、その時まで好きで居させてね──
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