誘惑の延長線上、君を囲う。
日下部君はズルい。私だけが特別みたいな言い方をして、持ち上げる。
「そんな訳で一緒に住むのも決まりでいいよな?」
私はまたしばらく黙っていた。信号待ちで止まった時に日下部君は私の方を見て、そう告げた。この人、一緒に住む事とお互いに結婚相手になった事に対して、重く受け止めていないのかな?私には簡単に考えているようにしか思えない。私は舞い上がる気持ちと同時に不安もあって、落ち着かない。助手席に座っていても、そわそわしてしまい、日下部君に不審がられている。
「……飯、食べに行く?どこが良い?」
「どこでも良い……」
「何だよ、元気がなくて、いつもの佐藤じゃないな。何かあった?」
何かあった?って、貴方のせいでしょ。貴方の行動と言動に一喜一憂してるんだよ。
「気晴らしにレイトショーでも見に行ってから、飯にする?明日、休みなんだから付き合ってよ」
「……本当に勝手ね」
「いいじゃん、そのうち結婚するかもしれないんだし。デートらしい、デートしよう」
私は理解不可能な領域に足を踏み入れた。日下部君が何を考えているのか不明瞭だから、今後、どうなって行くのかも想像がつかない。手に入らなくて藻掻いていた物が、一気に手の内に収まる感覚が怖くて堪らない。手に入ったら、後は手放すだけだから……。
「そんな訳で一緒に住むのも決まりでいいよな?」
私はまたしばらく黙っていた。信号待ちで止まった時に日下部君は私の方を見て、そう告げた。この人、一緒に住む事とお互いに結婚相手になった事に対して、重く受け止めていないのかな?私には簡単に考えているようにしか思えない。私は舞い上がる気持ちと同時に不安もあって、落ち着かない。助手席に座っていても、そわそわしてしまい、日下部君に不審がられている。
「……飯、食べに行く?どこが良い?」
「どこでも良い……」
「何だよ、元気がなくて、いつもの佐藤じゃないな。何かあった?」
何かあった?って、貴方のせいでしょ。貴方の行動と言動に一喜一憂してるんだよ。
「気晴らしにレイトショーでも見に行ってから、飯にする?明日、休みなんだから付き合ってよ」
「……本当に勝手ね」
「いいじゃん、そのうち結婚するかもしれないんだし。デートらしい、デートしよう」
私は理解不可能な領域に足を踏み入れた。日下部君が何を考えているのか不明瞭だから、今後、どうなって行くのかも想像がつかない。手に入らなくて藻掻いていた物が、一気に手の内に収まる感覚が怖くて堪らない。手に入ったら、後は手放すだけだから……。