嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
こんな扱いをするんだったら、元に戻って来なければ、よかったかな。

でも、その気持ちも、お父様とお母様に会って、吹き飛んだ。


「つき!」

「お母様!」

走って来たお母様に、私は抱き着いた。

「無事に戻ってきて、よかった。」

その一言に、私は泣いた。


そして、お父様の姿もある。

皆の前で表立って、抱きしめられないけれど、涙を浮かべていた。

よかった。

帰って来た。

そんな実感が湧いた。


「でも、なぜつきは帰ってこれたんだ?」

はやてが、疑問を投げつける。

「ああ、あの……」

水神様に、戻りたいって言ったの。

そう言って、信じてもらえるかな。


「恐らく、水神様に断られたんだろう。」
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