嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「さあ。そんな話、私も今日聞いたよ。」

「えっ?」

二人の結婚は、内密に進んでいたの?

それとも、ときの戯言?


そして、私の家に着くと、もう宴会の用意が進んでいた。

「さあ、つき。主役は前に座って。」

私は、お母様に背中を押され、お父様の隣に座った。

「では、我が娘。つきの無事の帰還を祝して、乾杯!」

「乾杯!」

家臣達も嬉しそうに、飲み始めている。


その中に、鯛の姿煮があった。

「あっ、鯛さん。」

「えっ?」

お母様に聞かれ、私は口に手を当てた。

「つきが帰って来たって聞いて、慌てて取り寄せたのよ。さあ、食べて。」

お母様は、鯛を私に勧めてくる。

ごめんね、鯛さん。

ちゃんと美味しく、召し上がるからね。

私を決意をすると、鯛を一口食べた。
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