嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「もしかして、嫌だったのか?」

「ううん。」

一度は結婚したいって思った人だもん。

抱かれて、後悔はないけれど。

「ああ、つき。」

はやては、私を抱きしめた。

「明日も、来ていいか。」

「うん。」

「つき。俺、嬉しいよ。」

今、はやての腕の中に、私はいる。

ときを羨ましく思った、昨日の夜の事が、嘘みたいだ。


「じゃあな、つき。また明日。」

甘い声で囁いて、はやては行ってしまった。

その時だった。

草むらの中から、ときが現れた。

「とき!」

「やってくれるわね、つき。」

ときは、鬼のように怖い顔をしていた。

「私だって、まだはやてに抱かれていないのに。」
< 115 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop