嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「なに?ときに言われたの?」

「うん。いつも欲しい物は、先に私に奪われるって。」

「そう。ときは、もしかしたら豪族の娘は、自分だったのではと思ったのね。」

「そうだと思う。あとは、はやての事。」

「はやて?」

私は、うんと頷いた。

「ときは、はやてが好きなの。だから、私がいなくなって、はやてと結婚できる事が嬉しかったのね。」

「そうなの。」

お母様は、頬に手を当てて、ため息をついた。


「正直、ときがはやてと結婚するって話は、昨日初めて聞いたのよ。いつから、そんな話になっていたのかしらね。」

「はやても、いつの間にかそういう話になっていたって、言ってた。」

もしかしたら、ときの早とちりだったのかな。


「つき。もし、はやてと結婚したいのなら、お父様に言えばさせてくれるわよ。」

「そうね。でも、そうしたらときはどうなるの?」

お母様から、返事はなかった。

「……そのまま、生贄にされるの?」

「そうかも、しれないわね。」


そうなると、るか様のところに行くのは、とき。

胸がズキッとした。
< 118 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop